年金財政見通し
厚生労働省が、2月23日に、5年ごとの年金財政見通しを発表しました。
発表によると、『現役世代の平均収入に対する厚生年金の水準(所得代替率)は、2009年度の62.3%から次第に低下して、2038年度に50.1%になるものの、それ以下は下らない』との予測で、2004年の年金改革の際に政府・与党が掲げた「現役世代の収入の5割を年金で確保する」という公約はなんとか達成できるそうです。
ただし、この予測の前提は、
(1)公的年金積立金の運用利率が、4.1%。
(2)2030年時点の高齢者・現役世代の就労者数が、
従来の予測より増加する。
(3)国民年金保険料の納付率が現在は60%台であるが、
80%台に戻る。
という、昨年の運用利率が△9.13%、現在の景気悪化と雇用情勢、今後の少子高齢化、右肩下がりの経済 等を考えると、まったく根拠のない楽観的過ぎる前提です。
多くのメディアが指摘するように、「現役世代の収入の5割を年金で確保する(所得代替率50%)」が達成できるという結論を導くために逆算したものでしょう。つまり、50%を維持するためには、これだけの条件が必要だということです。
このままでは年金制度が崩壊するのは明らかです、何らかの手を打たなければいけないことは、多くの人が気付いています。しかし事実をはっきりと公表すると、保険料を納めなくなる人が大量に発生し、年金制度の崩壊を早めてしまいます。少子高齢化に早い段階で気付いていた人達は、将来の年金制度の崩壊にも気付いていたのでしょう、しかし問題を先送りにしてきました。
2月24日のオバマ新大統領の施政方針演説に、次の一節があります。
「重要な論議と困難な決断は、いつかまた別の日の別な機会にと先延ばしされてきた。その清算の日が来た。我々の未来に責任を負う時もだ。」
※ 1月21日の記事も参照してください。
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