道州制は、日本を活性化させる極めて有効な手段であり、地方分権の最終目標のように言われています。
具体的には、現在の「国」「都道府県」「市町村」という国のかたちから、「国(中央政府)」「道州(地方政府)」「市町村(基礎自治体)」という国のかたちにかえて、「国(中央政府)」は外交・防衛・通貨・年金等のみを行い、「道州(地方政府)」は道路・生活環境整備・職業安定等の広域的な公共事業を行い、「市町村(基礎自治体)」は医療・教育・福祉・下水道・戸籍等の地域限定の公共事業を行う、というものです。
道州の区域割の案は、次のようなものがあります。
(1) 9州 : 北海道・東北・北関東信越・東京・南関東・中部・
関西・中国四国・九州
(2)11州 : 北海道・東北・北関東・東京・南関東・北陸・東海・
関西・中国・四国・九州
(3)12州 : 北海道・東北・北関東・東京特別・南関東・北陸信越・
東海・関西・大阪特別・中国・四国・九州
(4)13州 : 北海道・北東北・南東北・北関東・東京・南関東・
北陸・東海・関西・中国・四国・北九州・南九州
政府は、2007年2月に「道州制ビジョン懇談会」を設置し、2008年3月に中間報告を行い、2009年度中に最終報告(道州制ビジョン)をまとめ、2011年の通常国会に道州制基本法案を提出し、2018年度までに道州制移行をめざすとしています。
本来、地方分権は、地域住民が意見を出し合い自主的に地域社会を築いていくことをめざしていますが、地方分権の最終目標のように言われている道州制をめぐる議論は、財界を中心に一部の人達だけで行われており、地域住民は何も知らない間にどんどん議論が進められています。
2008年秋の経済危機発生の前後で社会情勢は大きく変わっており、どの地方公共団体も財政難にあえいでいます、このような状況で、道州制を導入し国のかたちを変えるという、壮大な計画がうまくいくのでしょうか?
「道州制が導入されることによって、地域住民の生活が今より本当に良くなるのか?」、という視点の議論がないまま、来年度中に最終案がまとめられ、2年後の国会で「道州制導入」が決まってしまうかもしれません。