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2009年9月16日 (水)

琵琶湖塾 3

 9月16日に開催された第3回琵琶湖塾のゲスト講師は、医師・作家の鎌田實(かまたみのる)氏でした。「医師として取り組んだ地域医療」「見てみぬふりをしない、目の前に困っている人がいたら助ける」「国のリーダーに求められること」「『あったかい』がキーワード」等の話をされました。

 講演の内容の要旨は、次のとおりでした。

 4・5年前から、私は「ウエットな資本主義」と言ってきました。小泉総理は「ドライな資本主義」と言っていました。資本主義はもともとドライであり、ドライな資本主義を進めることにより、さくばくとしすぎた。資本主義には、血を通わせなければいけないのに、血を流してしまった、温かい血を通わせなければいけない。

 小泉総理が毎年2200億円の医療費抑制を打ち出した時、私は真っ向から反対しました。小泉総理はアメリカが好きでなんでもアメリカを真似ようとして「ドライな資本主義」を進めた、私は「ウエットな資本主義」が必要と主張しました。

 35年前に長野県の諏訪中央病院に就職しました。累積赤字が膨らむ病院で、恵まれた就職先ではなく、同級生からわざわざ都落ちすることはないじゃないかと言われました。みななが恵まれた所を目指していましたが、私はそうではないところに向かっても良いのではないか、と思っていました。

 脳卒中で倒れたおじいちゃんが、元気になって退院することになりました。退院時私はそのおじいちゃんから「ありがとう、ありがとう」と言われ、退院後も往診していました。退院1週間後頃に、おじいちゃんが町で歩いているのを見て声をかけたら、「殺してくれたらよかった、なんで助けたんだ」と言われました。理由を聞いたら、そのおじいちゃんにとって、生きるということは、働くことだった農作業をすることだった、草を抜こうとしてもしゃがめなかった、おじいちゃんにとっては生きる意味がなくなった。
 大学では命を助けることしか習わない、助けた後のことは考えたことがない。自分がしていることは何なんだとショックでした。生かした命が生きていないという現実に、ぶつかりました。
 一度、脳卒中で倒れたら、助かっても障害が残る、倒れないことが大事。

 資本主義経済は、分厚い中流をつくることが大事、しかしこの10年間は、それを壊してきた。資本主義はお金が動かなければいけない、お金を動かすには明るい気持ちにならなけらばいけない、政治のリーダーは、冷めた人びとの心を温めなければいけない。いくらお金を投資しても、心が温かくならなければ、そのお金が動かない。日本人は貯金している、その貯金の1割をみんなが使えば、現在のような状況にならない。
 高齢者が貯金したまま死んでいく。家族のために、何かプレゼントすれば経済は良くなる。なぜ高齢者が貯金を使わないか、老後が心配だから。この国を信頼していないから、老後が心配。不幸なこと。

 人生も経済も健康もすべて波がある、どうやって大きな波を小さな波に変えるか、波を無くすことはできない、波を小さくすることが大事。

 キーワードは、『あったかい』。田舎の病院で、あったかい医療を行った。この国の再生は、それにかかっている。日本国民はリーダーを待っている、リーダーのあったかいメッセージを待っている。

 寝たきりの老人が、家のもっとも暗い部屋にいた、一年以上風呂に入っていなかった。介護保険が無い時代、病院のスタッフが自分の仕事をよこにおいて、その寝たきり老人の介護を行った。「これは自分の仕事ではない」と言わない見てみぬふりをしない、困っている人を救う。地域の人がこの病院は『あったかい』と感じる、地域が変わっていく。
 病院のスタッフは、お金儲けをしようと誰もしなかった。困っている人を助けたい、という思いだけ。病院があったかくなる、病院が変わっていく。
 地域の病院にどのようなあたたかな物語があるか、国家にどのような物語があるか、あったかなことをしようと言えば人は動く、お金儲けをしようと言えば病院のスタッフは動かなかった。

 私は、1歳の時に父親にすてられました。私と母は、タクシー運転手の義父にひろってもらって、生き延びられました。

 みんなが自分のために生きているが、1%だけでも他人のために生きていけば、絶対に世の中は良くなる、と信じている。

 『幸せ』って何?1980年頃から、物や金に目が行き過ぎた。物や金も大事だけど、それだけでは幸せになれない。健康も大事です、でも、健康でない末期ガンの患者さんから「私、幸せです。」という言葉を何度も聞きました。『幸せ』って何?私達は幸せの意味を取り違えてきました。
 あったかい人がまわりにいることが大事。地域でも国家でも同じ、困っている国があれば助ける、困っている子ども達がいれば助ける。『あったかい』ということがセィフティーネット。

 2000年9月、20世紀の最後に「がんばらない」という本を書いた。20世紀とは、がんばってきた100年であった。豊になりたくて、開国していくつかの戦争をして、第二次世界大戦で負けてすべてを失ってもがんばって復興していった。
 がんばることは正しいが・・・。
 末期ガンの患者さんに「がんばりましょう」と言ったら、その患者さんから「今までがんばってきましたが、もうがんばれません」と言われた。がんばって豊かになったが、幸せにならなかった。がんばることは大事、でも、がんばらないことも大事ではないか、と思うようになった。
 上に行ったり、下に行ったり、波があっても良いのではないか、みんな上に行こうとばかりしていたのではないか、と思うようになった。

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