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2009年9月 3日 (木)

手嶋龍一氏の講演

 8月27日(衆議院総選挙前)、びわこ銀行が主催するセミナーが琵琶湖ホテルで開催され、外交ジャーナリストで作家の手嶋龍一氏が「世界のなかの日本、アジアのなかの日本」というテーマで講演をされました。

 手嶋氏は元NHKワシントン市局長で、支局長時代アメリカ同時多発テロ事件(2001年9月)の際に、11日間連続の中継放送を担当されました。外交・安全保障について、日本・アメリカの歴代の政府中枢人物等から収集した独自の情報力と冷静な分析で圧倒的な支持を得ており、「ひとりCIA(アメリカ大統領直轄のアメリカ中央情報局)」とも呼ばれています。

 講演の内容の要旨は次のとおりです。 (誤りがあるかもしれません)

 ニュースキャスターがよくテレビ画面で怒りを表すことがありますが、みんながみんな知っていることを怒っても意味がない。みんなが知らないこと、報道したり発言すれば問題が起きることについて、自分ひとりでも発言できるかどうか。危険の所在をかぎつけて、みんなが気付いていないことを発言できるかどうか。(このことがジャーナリストの役目)

 自民党が政府の座をすべり落ちたら、二度ともとにもどることはない。この3代(安倍・福田・麻生)の総理にばかり目がいっているが、これは本質を見誤る。3代の総理の間において、大きなミスはないが、変えていかなければいけないことは分かっているが、「変えることができない」とみなさんがわかってきた。(このことが、自民党が抱える問題)

 麻生総理がなぜ総理として機能しないのか?大小を問わず組織の長として組織を動かす場合に必要なのは「同志」です、組織の中に「同志」がいなければいけない。麻生総理には「同志」がいない。非常に重要なことを決める際に誰と総理が相談するか、となると誰もいない。側近がいない、福田氏も安倍氏も同じ、首席総理秘書官がいない。3人とも総理になる前に、必死に側近を探さなかった。

 民主党は今まで自民党ができなかったことをしなければ意味がない。自民党が変えられなかったことを、変えていかなければならない。

 自民党が敗退して、4年後に政権をとれるかというと無理だと思う。解党的な出直ししかないと思われる。自民党という名前は残っても、中身がまったくちがう政党にならなければ無理だと思う。

 日本では、昭和20年代に官僚が書いたデザインどおりに実行されていった。勤勉な国民のおかげで、官僚が書いたデザインどおりに経済大国となった。

 アメリカでは、大統領・上院議員・下院議員のように選挙で選ばれた人と、官僚は別の人とみられている。国防長官(ヒラリー・クリントン)は選挙で選ばれた人ではない、そのことはヒラリー・クリントン自身も十分意識している。政治家(選挙で選ばれた人)が官僚(選挙で選ばれた人ではない)を支配するのは民主主義国家ではあたりまえ。「これからは政治家が官僚を支配する」という言葉を外国人が聞いたら、奇異に聞こえる。

 日本では、みなさんが選挙で選んだ政治家が言論の自由を許されていない、各省庁の官僚が書いた原稿を、大臣(選挙で選ばれた人)が読まされている。

 「血を流す(軍隊を派遣する)」「汗を流す(軍隊の後方支援を行う)」「金を出す(軍隊も出さず、後方支援も行わない)」、外国で問題が起きれば、この3つの選択肢しかない。1991年の湾岸戦争で、日本は、世界で唯一「お金を出す」という選択をした。アメリカ率いる多国籍軍に130億ドルもの貢献を行いながら、世界から冷笑をもって迎えられた。

 1991年、国家の決断をしたのは当時の海部総理ではない、海部総理は何も決断していない、外務省等から総理官邸に出向していた官僚が決断していた。(「外交敗戦(新潮文庫)」に詳しく書かれています)

 アメリカではオバマ大統領が誕生した。オバマ氏は1994年に政治デビューした、共和党ブッシュ大統領に対して、民主党はジョン・ケリーをたてた、その時に民主党はオバマ青年を壇上に上げた。その時のオバマ青年の演説はすばらしい演説であった、新しいヒーローの出現を予感させるものであった。その後オバマ青年は、イリノイ州知事→上院議員→民主党大統領候補となった。2004年当時、オバマ氏の有力支持者は5人しかいなかったが、2008年11月8日に大統領になった。

 日本のメディアは、オバマ氏は行政経験が無いので実力は未知数というが、これは愚かな論評。有力支持者5人しかいないところから、4年で強大な組織を作り上げた。

 日本大使館、ジョン・ルース氏は、オバマ氏の最初の巨額な政治資金を集めた人物。アメリカでは大統領が変われば、各省庁の幹部が瞬時に変わる。

 ブッシュ政権は、「アメリカに良きことは世界に良きこと」として突き進んだ。2001年9月11日(アメリカ同時多発テロ)以降、先制攻撃を行うようになった。アフガニスタンを攻めてタリバンを倒した、そして中東(イラク)に攻めていった。

 イラク・イラン・北朝鮮の3国を「悪の枢軸」と名指しした。北朝鮮のキム・ジョンイルは、次にアメリカから攻撃されるのは自分だと思った、日米同盟が怖かった。

 ブッシュは、北朝鮮のキム・ジョンイルがほんとうに嫌いであったが、対話路線を選んだ。対イラクには戦争を選んだが、中国を仕切り役にして対話路線を選んだ。理由は、対イラク戦で国力を使い果たしてしまったから。

 オバマ氏も、鳩山氏も、しなければいけないことは決まっている。

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