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2010年1月27日 (水)

安全・安心 2

 東京大学名誉教授で、科学史・科学哲学が専門の村上陽一郎氏は、「安全と安心の科学(集英社新書:2005年発行)」で、次のように述べられています。

「安全はここ数年の間に、社会の合言葉になったようです。私が1998年の暮れに『安全学』と題する書物を刊行したときには、そんな学問があるはずがない、世のなかに受け入れられるとは思えない、という批判やお叱りの声が聞こえてきたほどでした。ところがどうでしょうか。最近は中央政府の施策の柱にさえなってきました。」

「中央政府の施策として『安全・安心』が、当然のように謳われているわけですね。裏を返せば、現代の日本社会は、『安全・安心』が保証されていない、ということになるわけです。」

「『安全』と『危険』、『安心』と『不安』という構図のなかにある区別や意味を少しはっきりさせなければならないところへ、私たちを誘います。言い換えれば、危険が除かれ安全になったからと言って、必ずしも安心は得られない、ということにもなります。」

「不安は、その反対概念である安心も含めて、定量的な扱いから大きくはみ出る世界です。不安を数値で表すことはできませんし、安心の度合いを数値化することも困難です。」

「今人々の心の中心を捉えかけているのは、もはや『不足』ではなくて、『不安』なのではないでしょうか。不足には満足が対応します。そして、不足と満足は、どちらも心理的な側面の強い概念であるにもかかわらず、ある程度数値化が可能なものです。」

「私の提唱する『安全学』とは、そうした意味で、『安全-危険』の軸と、『安心-不安』の軸と、『満足-不足』というような軸を、総合的に眺めて、問題の解決を図ろうとする試みと理解していただければ幸いです。」

「あらゆる組織、企業、行政府(特に地方の)、学校などが、そうした『安全対策室』を設けることが、重要であると私は考えています。」「それは、保安室や守衛業務などを越えて、常に総括的な組織内、組織外の『安全』に関して、情報の収集、分析、対策の立案、実施、広報などの業務を行い、組織内の安全文化を賦活し続ける役割を担うべきだと思っています。」

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