11年前の今日(平成9年5月27日)、中学校の正門に遺体の一部が置かれるという殺人事件が発生しました、「酒鬼薔薇聖斗事件」です。犯人が14歳の少年であったことから、連日マスコミで取り上げられました。
事件の概要は、次のとおりです。
1.2月10日
神戸市の路上で小学生の女児2人が、ハンマーで頭部を殴られた。被害女児の父親が被害女児から「犯人はブレザーを着て、学生カバンを持っていた」と聞き、中学校から生徒の顔写真の提供を受ければ犯人を特定できるかもしれないと思い、警察に被害届を出しました。被害届を受けた警察は、中学校に顔写真の提供を求めたが、結局中学校は提出しませんでした。
2.3月16日
神戸市内の公園で小学生の女児に、「手を洗える場所はないか?」と聞き、学校に案内させた後、「お礼を言いたいので、こっちを向いてください」と言い、振り返った女児を金槌で殴りつけて死亡させた。
3.5月24日
「青色の亀がいる」と言って、小学生男児を近所の高台に誘い出し、その場で絞殺した。
犯人と被害者は顔見知りで、家でいっしょに遊んだりもしていた。
4・5月27日
被害男児の遺体の一部が、中学校の正門で発見された。
この事件については、多くの書籍が出版されています。
まず犯行の原因については、
「透明な存在のボク」という犯人の手記をキーワードとして、多くの評論家が、生い立ち、家庭環境、生活環境、ゲーム、漫画、ビデオ等について言及しており、そのどれもが原因の一つとは思われますが、「人間の人格形成は、生まれる直前から満1歳になる頃までの母親又は母親代理との関係でほとんど決まる、この時期に十分愛情を持って育てられたか否かで決まる。」「泣くことによって、おなかが空いた、オムツが濡れて気持ち悪い、という訴えをする赤ちゃんに対して、ミルクをあげたりオムツを替えたりせず、いくら泣いてもずっとほったらかしにされたり、虐待を受けて育った子は人格形成上問題が生じる可能性が高い」「満1歳頃までの時期に愛情を持って育てられなかった子に対して、ものごころがついてから相手のことを思いやるとか、相手の立場に立って物事を考えるとか、やさしさといったことを教えても、無理である手遅れである」「殺人事件を起こす犯人は、満1歳頃までの育てられ方に問題があることが多い」という旨の、ある思想家の発言に注目する必要があると思います。(注意:虐待を受けて育った子が、みんな事件を起こすという意味ではありません)
次に犯行を防ぐ方法についてですが、
1.2月10日の事件
自分の中学校から犯人を出したくないという、中学校の隠蔽体質に批判が集まりました。この段階で、中学校が生徒の写真を提出し犯人が特定できていたら、この後の事件は発生していなかったかもしれません。この段階では、世間もマスコミも犯人は大人と思い込んでおり、当時は、子供(中学生)がこのような残虐な事件を起こすはずがないという意識も強かったようです。
2.3月16日の事件
「手を洗える場所はない?」と聞かれて周りに無い場合、小学生の子供に対して、親や教師はどのように対応しなさい、と言えば良いのでしょうか?
3.5月24日の事件
普段いっしょに遊んでいるお兄ちゃんに誘われた場合、小学生の子供に対して、親や教師はどのように対応しなさいと言えば良いのでしょうか?